オゾンを発生させる方法はいくつかありますが、その中の「水銀を使ったオゾンランプ」が環境や安全の配慮から2020年をもって世界レベルでの生産終了するというニュースがありました。日本でも古くは水銀灯、白熱灯、オゾン発生装置でいうなら石英式ランプ照射型は広く活用されてきました。しかし昨今の重金属などの土壌汚染やco2問題、有害性など健康被害の懸念からも生産終了の申し合わせは来るべくしてしかりの時代なのかも知れません。今日はその界隈の話題とオゾン発生装置の話題をお届けいたします。

2020年・石英式オゾンランプ生産終了は「2013年の水銀条約」に世界が動いた結果

特に深刻な発端だったのは発展途上国における水銀や水銀化合物による河川や土壌汚染が原因による公害病の深刻さでした。実はこの条約を先導したのは日本です。過去から現在も患者認定の訴訟中である「水俣病」が国家問題である経緯があったためです。有害窒素の悪態の垂れ流しとして今でも公害病の尾を引きずっているのです。2013年より日本が積極的に条約締結を推し進め、同年10月10日に熊本県で「水銀条約」は採択されました。

どのような経緯でオゾンランプが生産終了になるのか?

この条約での肝は「水銀、水銀製品の輸出入を国際条約により制限する」というものです。同意、承認加盟国は50か国以上ですが未加盟国はエントリーしていません。しかし水銀、水銀製品の産出、輸出入の主要国も多く一斉に「過剰な水銀」を激減できる体制はこれで整えられました。具体的に私たちの身近なところでの水銀削減(とそれに付随する条約では)ディーゼル車から出る排ガスのオキシダントでもある高濃度オゾン、家庭製品で水銀が使われているのは「白熱灯」「蛍光灯」「乾電池」。今はもう見かけないですが「体温計」の計測液にも使われていました。

そして水銀製品の一つが「オゾン照射ランプ(UVランプ)」なのです。また、さらに輪をかけて不味いのが「オゾンに窒素」です。水銀公害の水俣病で窒素ガスが引き合いに出されている(実際訴えられている会社もチッソという名称ですが)のは水銀と関わりがある気体だからです。オゾン発生にはまず「純粋な酸素」が必要です。ところがこれに窒素を添加するとオゾン発生量が劇的に増加するのです。からくりは窒素により電気が通りやすくなり電位活動が盛んになるから。これが環境問題のディーゼル排ガスでも出てくる「悪い方向のオゾン」なのです。

[注釈1]
ディーゼル車のオキシダント問題は水銀削減ではないのですが、「水銀に関する水俣条約(水銀条約)のなかの化石燃料に対する規制」で出典。この条約は全35条の条文と5つの附属書からなり、水銀のライフサイクル全体が規制されるというものです。語弊が生じるのでディーゼル車の部分に追加してお読みください。
*条約に関する記述部分参照:「水銀に関する水俣条約」より

オゾンを発生させる方法

オゾンを発生させる方法はいくつかあります。
以下に紹介します。

水銀をつかった放電式紫外線ランプ

今回生産終了になるのはこのタイプです。
天然のオゾンが発生する放電現象の過程を模して作られているオゾン発生ランプです。具体的には石英ガラス管内に水銀蒸気を流してアルゴンガスとぶつかることでオゾンを発生させます。ちなみにランプ表面は石英という鉱石が原料ですが、全く歯が立たないというくらいUV線(オゾン発生領域を含むUV-C波)に強いです。なので発生した殺菌線を吸収することなく照射できるというわけです。ガラスだと吸ってしまうそうで昔は苦肉の策で管にフッ素で加工されていたのですがイマイチだったようです。*参考参照:以前のUVランプ記事に分かりやすい図表を添付してあります。

主な用途としては、寺社のご神水、手洗い場などの湧水殺菌、調理器具殺菌保管庫、養殖場など漁港の海水リサイクルなど。インライン方式とオープン(開放型)方式があります。

無声放電方式オゾナイザー

広範囲に適応できる酸素分解で得られるオゾン。
管内に、別に発生させた純度の高い酸素を送り、管を挟んだ電極から高電圧放電してO3(オゾン)の結合を作り出すという機器です。
オゾン発生器などと呼ばれています。
豪雨の時の落雷と雷鳴のようなものです。でも送った酸素が全部オゾンにはなりません。酸素オゾンン混合ガスとなり放出されます。先ほど「ガラスは役立たず」という感じで言ってしまいましたが、管と高圧電流を流す伝導板の間にはガラスが必須です。
なぜかというと「無かったら目潰しレベルの閃光花火と耳をつんざく爆音が止まらないからです」これは自然界の祟りではないので閃光に手のひらを合わせ、まぶたを閉じてお祈りしてもお怒りは治まりません。オゾンができるまでお祈りを捧げても無駄ですからね、オゾナイザーを自作するかたは注意してください。

主な用途としては、冷蔵庫の殺菌機能、消臭、脱臭機器、トイレ消臭など小規模向きから浄水場まで幅広く利用されています。

水中放電により電解水としてオゾン水を作り出す方式

オゾン処理水を作り出してから別の貯水槽に添加してオゾンを活用するタイプと直接水中でオゾンを発生させる方法があります。

超純水は電気を全く通しません(この状態を不導体、又は絶縁体という)ですが、水に電極を作り電位を起こすならば、これに適当な「電気が流れるような物質」を溶かす必要があります。しかしながら何でもいいわけでもなく銅、樹脂とか紙くずみたいな不純物ではその後の使用も含め困る訳です。なのでいわゆる残留しても有害ではない、その後の使用用途でも困らないイオンになりそうなものを水中に溶かすのです。よく使われているのは電気抵抗の授業の実験で定番だった食塩水、硫酸銅などですが、オゾンに塩素は酸化が早すぎ(加速しすぎ)という弱点があります。(但し働きも弱めますが、ダメではない、という別の手法を用いたオゾン発生に関する論述もあります)大抵のセオリーとしては、薬品や物質の溶液ではなく「個体分子膜」という膜を用いてこの電解質媒体からイオン交換を促すことでオゾンを発生させます。

【主な使用先】
直接オゾンを作り出す:水道局の浄水場、下水処理場(但し、オゾンガスを無声放電式で発生させ水中にバブリングする設備もある)
オゾン水を希釈、タンク注入:人工透析の透析液、酸化療法(オゾン療法含む)

オゾン発生方法別比較表

ご存じの通りオゾン発生装置はコンパクトな壁掛けランプから、建造物へのビルドイン、浄水場の巨大濾過水槽まで規模が様々です。ので比べられないのですが、比較はあくまでも部品の調達の利便性や量産面でのコスト、濃度は1ppm(作業の限度基準)までのオゾンの発生又は生成、分解速度はphと温度が同じだった場合の比較です。

殺菌基準までの発生濃度 分解速度 耐久性 コスト
紫外線・水銀ランプ
ただし蛍光灯表面が曇ると激減
◯〜△
湿気に触れなければという条件付き

量産されコンパクトな商品が多い。
放電式・電磁波プレート
低音に弱い

部品、電気代が高い。小規模向き。
電解水処理
必ず溶液水槽

ナノレベルバブリングが必須条件

オゾン処理水をインジェクトで注入

常に酸化促進されている状態なので腐食は免れない
◯〜△
大型付帯設備の場合、大抵が見積もりオーダーメイド

まとめ〜次世代無水銀ランプも市販で登場しています

次世代無水銀ランプとは、簡潔に言えば「水銀0のオゾンランプ」です。無水銀オゾンランプとして市販されている内訳は、どうも電極放電式の凄いやつのようです。オゾンをさらに活性させて酸化アタックします。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA